Amazonは、数百万人の消費者が日々商品を探し、購入するマーケットプレイスです。それだけに、Amazonセラーセントラルに登録し、自身の商品を販売することはECビジネスを成長させます。ここでは、そのための具体的なステップを解説します。
Amazonセラーセントラルに登録する前に準備するものとその必要性
Amazonセラーセントラルへの登録をスムーズに進めるためには、以下の準備が必要です。
・本人確認書類
顔写真付きの政府発行のID(例:パスポート、運転免許証など)が必要です。身分証に記載がある氏名とセラーセントラルに登録する情報が一致し、有効期限内であることが条件となり、マイナンバーカードはNGなのでご注意ください。
・取引明細書
銀行またはクレジットカード会社が発行したもので、直近180日以内のものが必要です。(公共料金の請求書・クレジットカードの利用明細書・インターネットバンキング取引明細など)
※氏名・請求先住所・銀行情報(クレジットカード情報)・発行日や取引履歴がわかる画像を準備
・Amazonのアカウントまたはメールアドレス/電話番号
既存のAmazonのお客様アカウントを使用するか、ビジネスメールアドレスで新しいAmazonのセラーアカウントを作成することができます。また、電話番号も必要です。
※複数のAmazonアカウントの作成は禁止されている
・クレジットカードと銀行口座
請求可能なクレジットカードと、Amazonから販売の収益を送金できる銀行口座情報が必要です。
※法人の場合は追加で登記簿謄本が必要
Amazonセラーセントラルの登録手順
①ログインまたは新規アカウント作成
まず、すでにAmazonのアカウントを持っている場合はログインします。Amazonは複数アカウントの所持を禁止しているため、既にアカウントを持っている場合はそのアカウントを使用します。もしアカウントを持っていない場合は、新規作成を行います。「Amazonアカウント作成」ボタンを押し、名前、Eメールアドレス、パスワードを入力します。その後、登録したメールアドレス宛に確認コードが送られるので、それを入力します。
②出品サービスアカウントの作成
ログイン後、「アカウント&リスト」を押し、「出品サービスアカウント」を選択します。「さっそく始める」を押し、出品サービスアカウントの作成を始めます。
③基本情報の入力
法人の場合は法人名、所在地、連絡先を入力します。個人事業主の場合は氏名、住所、連絡先を入力します。所在地、業種、氏名を入力し、「同意して続行する」を押します。
④法人情報の入力
法人の場合、登記簿謄本を確認しながら法人番号、会社住所などを入力します。電話番号は登記されているものでなくても構いませんが、連絡がとれるものを登録します。
⑤本人確認書類のアップロード
主な担当者は本人確認書類と同一人物になるようにします。必要事項を記入し、「保存」を押します。身元の証明としてパスポートまたは免許証を選択し、それをアップロードします。
⑥その他の情報のアップロード
クレジットカード情報、ストア情報、銀行口座の詳細、税情報を入力し、必要な書類をアップロードします。
⑦登録の完了と審査
全てのアップロードが完了したら、送信ボタンを押して登録を完了します。その後、3営業日ほどで審査結果がメールで届きます。
個人事業主の場合も、基本的には同じ手順で進めます。ただし、法人情報の入力の代わりに、自身の個人情報(氏名、住所、連絡先)を入力します。その他の手順、つまり本人確認書類のアップロード、クレジットカード情報・ストア情報・銀行口座の詳細・税情報の入力とアップロード、そして最後に登録の完了と審査、は法人の場合と同じです。
いずれのケースでも、全ての情報が入力され、必要な書類がアップロードされた後、最後に「送信」ボタンを押して登録を完了します。その後、Amazonから審査結果が3営業日ほどでメールで届きます。
セラーセントラル登録後の流れとそのポイント
Amazonセラーセントラルに登録した後は、商品を登録して出品するための手続きが待っています。このプロセスはいくつかのステップに分けて解説していきます。
制限対象商品の認識
まず、自分が出品する商品が「制限対象商品」かどうかを調べることが重要です。制限対象商品とは、Amazonが安全性の証明を要求する商品カテゴリーのことを指します。酒類、医薬品、電子製品、電子機器などが該当します。これらの商品を出品する前には、出荷許可申請を提出し、Amazon側から許可を得る必要があります。具体的な制限対象商品のリストはAmazon公式サイトで確認できます。
商品の出品情報の作成
次に、商品の出品情報を作成します。すでに他の人が同じ商品を出品している場合は、その既存の出品情報を参考にします。一方、自分がその商品の最初の出品者、または唯一の出品者である場合は、新しい商品情報を作成する必要があります。
製品コードについて
ほとんどの商品にはUPC(ユニバーサル・プロダクト・コード)やASIN(Amazonスタンダード識別番号)といった製品コードが存在し、これによって商品が識別されます。この製品コードを利用して、検索を行い、既に登録されている商品情報を照合することが可能です。これにより効率的に商品を登録できます。
しかし、オリジナル商品やハンドメイド商品など、製品コードがない商品を販売する場合は、カテゴリーごとに「製品コード免除申請」を行う必要があります。この免除申請が一度通過すれば、その後の同じカテゴリーの商品はすべて製品コード無しで出品できます。
商品のリスト作成と在庫管理
商品情報の登録が完了したら、商品のリストを作成し、在庫管理を行います。この段階でも注意すべきポイントがいくつかあります。たとえば、商品リスト作成時には、商品のタイトル、説明、キーワードが適切に設定されているかを確認することが重要です。これらの要素は、商品が検索エンジンに見つけられるかどうか、また購入者が商品を理解しやすいかどうかに直結するからです。特にキーワードはSEO(検索エンジン最適化)における重要な要素であり、適切なキーワードを設定することで商品の検索順位を高めることができます。
また、在庫管理も極めて重要な作業です。在庫が十分にない場合、商品が欠品してしまい、購入を検討していた顧客を失ってしまう可能性があります。逆に、過剰な在庫を抱えてしまうと、保管費用が増えるだけでなく、商品が古くなる、または傷む可能性もあります。在庫を適切に管理することで、コストを抑えつつも顧客へのサービスを維持することができます。
出荷準備
商品のリスト作成と在庫管理が終わったら、次は出荷準備です。ここでも注意すべきポイントがあります。特に、商品の梱包とラベリングが正しく行われているかどうかをチェックすることが重要です。これにより、商品が顧客に安全に届けられることを保証し、商品が正しく識別されることが可能になります。
Amazonのアカウント作成時の注意点とその対策
Amazonでの販売活動を始めるにあたり、アカウント作成は重要なステップの一つです。ただし、注意して行わないと一部問題が起こる可能性があります。ここでは、その主要な注意点と対策方法をご紹介します。
作成したアカウントが停止される
Amazonは、プラットフォームを安全に保つため、一定の条件下でユーザーのアカウントを一時停止することがあります。これは、一部のユーザーが規約違反や不正行為をする可能性があるためです。
一時停止の原因としては、例えば、未提出の書類がある場合や、商品の出品に関して何か問題が発生した場合などがあります。また、新規アカウントの作成時に、海外のマーケットプレイスにチェックを入れると、Amazonアメリカやヨーロッパでのアカウントが同時に作成されます。しかし、それぞれの国に対して適切な個人情報を提出しないと、海外のアカウントが一時停止され、結果的に日本のアカウントも停止される可能性があります。
これを防ぐための対策としては、まずAmazonのポリシーをよく理解し、遵守することが必要です。また、マーケットプレイス設定時には、「北米」や「ヨーロッパ」にチェックを入れるのではなく、販売予定の国のみを選択することが重要です。
誤って海外のアカウントを作成した場合
もし誤って海外のアカウントを作成した場合、それを削除して再度作り直すだけでは問題は解決しません。なぜなら、一度作成した海外のマーケットプレイスは、アカウントを削除しても残ってしまうからです。
この問題を解決するためには、まず海外のアカウントにログインし、そこで登録をキャンセルする必要があります。次に、海外のテクニカルサポートに英語でメールを送り、日本以外のマーケットプレイスを閉鎖したい旨を伝えます。この際、誤って日本のアカウントを削除しないように注意が必要です。
以上のような注意点を把握し、適切な対策を講じることで、Amazonアカウントの作成とその後の運用がスムーズに行えます。正確な情報提出やポリシー遵守、そして何より自身の販売地域の正確な理解が重要であることを忘れないでください。
小口出品と大口出品:その違いと選び方
Amazonの出品形態は主に「小口出品」と「大口出品」の2つに分けられ、それぞれが異なる特性と手数料体系を持っています。どちらを選ぶべきかは、商品の数やビジネスのスケールによります。
小口出品について
小口出品は商品数が少ないセラー向けのプログラムです。具体的には、1ヶ月に販売する予定の商品が49点以下の場合は小口出品がおすすめです。
小口出品では販売手数料に加えて、1商品が購入されるたびに100円の成約料がかかります。これは商品を自身で在庫管理し、販売した商品に対して手数料を支払う形式です。
小口出品はお試しで始めたい人や、まだ自社で商品を持っていない人にとって、良い選択となるでしょう。ただし、本格的に売上を伸ばしたい場合や大量に商品を扱いたい場合は、大口出品が適しています。
大口出品について
大口出品は大量に商品を扱うセラー向けのプログラムです。商品の出品や販売の有無に関わらず月額登録料4,900円(税抜)がかかります。
大口出品では、基本的に成約料はかかりません。ただし、本やCDなどのメディア系商材の場合はカテゴリー別の成約料が発生しますので注意が必要です。
大口出品の大きなメリットとして、在庫ファイルを使用した一括商品登録、各種レポート取得と分析、カートボックスの取得、新規出品、配送料の設定などがあります。これらは、ビジネスを大きくスケールアップさせたい場合や、より多くの商品を扱うことを考えている場合に特に有用です。
売上を大幅に伸ばしたい場合や、大量の商品を扱いたい場合は、大口出品がおすすめです。
Amazonセラーセントラルの手数料構成とその理解
Amazonで出品するときには、様々な手数料が発生します。これらを理解し、適切に計画することは、利益を最大化し、想定外のコストを回避するために重要です。主な手数料には以下の5つがあります。
①販売手数料
販売手数料は、販売された商品ごとに発生します。商品ごとに最低販売手数料が定められており、出品者は販売手数料か商品ごとの販売最低手数料のいずれか高い方を支払います。この手数料は販売価格に影響を与えますので、販売価格を決定する際には必ず考慮してください。
②成約料
本やCD、DVD、ビデオなどのメディアを販売する場合、販売手数料とは別にカテゴリー別成約料を支払う必要があります。これは商品のカテゴリーごとに異なる手数料で、販売した商品ごとに発生します。
③配送代行手数料
Amazonで販売した商品を発送する際には、自己発送する方法とFulfillment by Amazon (FBA)を利用する方法の2つがあります。自己発送する場合には配送代行手数料はかかりませんが、FBAを利用する場合には商品の大きさと重量により、小型・標準・大型・特大の4つに区分された手数料が発生します。
④在庫保管手数料
在庫商品を自社で保管する場合には手数料はかかりませんが、Amazonの倉庫で保管する場合には商品のサイズと保管期間によって在庫保管手数料がかかります。この手数料は日割りで月単位で請求されます。
⑤その他手数料
- 長期在庫保管手数料:保管期間が365日を超えた場合に発生する手数料。
- FBA在庫の返送/所有権の放棄手数料:在庫の処分や返送を依頼する際に発生する手数料。
- 購入者返品手数料:返品送料無料の商品が30日以内に返品された場合に発生する手数料です。返品を防ぐための良質な商品情報の提供や適切なカスタマーサポートの提供が重要です。
- 在庫保管超過手数料:Amazonが指定した保管期限を超過した場合に発生する手数料です。在庫管理を適切に行い、不要な在庫が長期間保管されないように注意が必要です。
Amazon EC成功のためのポイント
毎日最安値を確認する
ECは基本的に価格競争になりやすいです。その中でも、Amazonのマーケットプレイスでは価格競争が常に行われているため、価格の最適化は重要です。これは他の出品者との価格を比較し、自身の商品価格を適切に設定することを意味します。ただし、価格競争に走ると利益が出にくくなることもあるため、適切な価格設定が重要です。
カートボックスを獲得する
「カートボックス」とは顧客が購入を決めたときに最初に見る「今すぐ買う」ボタンのことで、これを獲得することで販売機会を大きく広げます。カートボックスを獲得するには、大口出品・最安値で販売・出品の実績と評価・配送プラン・在庫数などを満たす必要があります。
Amazon広告を運用する
商品の露出を高めるためには、Amazonの広告サービスを利用することが有効です。広告を出稿する際は、ターゲットを特定する必要がありますが、わからない場合は、「オートターゲティング」を活用できます。Amazonに蓄積されたデータを元に、出品した商品を購入する確率が高い消費者に向け、アプローチすることが可能です。おすすめの活用方法は、最初の1ヶ月間1万円〜2万円で運用し、データを取ります。それから、キーワード・代替商品・補完商品等それぞれの経路のROAS/CVRを分析し、マニュアルで最適化していきます。